名古屋名物。ひつまぶし。なぜ、ひつまぶしは生まれたのか?なぜ、名古屋らしい名物と言えるのか?

僕はウナギ屋で10年間働いていました。

なのでウナギについては詳しいです。

名古屋と言えば名物はひつまぶし。

全国のご当地グルメで

ひつまぶしは

1位 さぬきうどん(香川)

2位 長崎ちゃんぽん(長崎)

3位 広島風お好み焼き(広島)

4位 ひつまぶし(愛知)

4位にランキングされています。

ちなみに9位は味噌カツ、10位は味噌煮込みうどんと

愛知県は唯一ベストテンに3つもランクインしています。

これも「なごやめし」を売り出してきた愛知県と名古屋市のキャンペーンの成果であると思います。

  

このランキングを見てもわかるように

ひつまぶしは圧倒的な単価の高い

豪華な料理です。

ひつまぶしは3000円くらいはしますので

他の料理に比べても圧倒的に「ごちそう」感が強い料理です。

   

ウナギ。

ウナギは高いです。

価格的に非常に高い。

  

ウナギのタレには愛知県の名物「たまりじょうゆ」が使われています。

愛知県の料理の味は「たまりじょうゆ」の文化です。

ウナギのたれは「たまりと砂糖とみりん」で作っています。

岡崎のほうで昔から大豆を多く生産していたので

通常、麦と大豆で作成するしょうゆを

大豆だけでつくりました。

これが「たまりじょうゆ」

愛知県の料理が濃厚なのはこの「たまりじょうゆ」のコクが強く、濃い味によります。

ちなみに名古屋名物の八丁味噌も大豆で作成した「豆味噌」です。

    

さて

「ひつまぶし」

この圧倒的な名古屋名物料理は

「名古屋人の合理精神」にもとづく料理です。

発祥は大正時代とも明治時代であるともいわれていますが

僕は大正時代であると思っています。

    

ひつまぶしは売り手にとって「ありがたい料理」なのです。

ウナギは焼くのが非常に難しい料理です。

特に愛知県のウナギの調理法は

地焼きです。

生のウナギをそのまま炭火で焼き上げる。

これは製法としては単純ですが

「まさに職人の技」

なかなか難しいです。

正直、うまく焼けないこともあります。

ひつまぶしは細かくウナギを刻みます。

「混ぜる」ことが可能なのです。

うまく焼けたウナギの中にそういうウナギを混ぜることが可能。

これはウナギ屋にとってありがたい。

加えて

昔はウナギの大きさにバラツキがあったので

小さいウナギの有効活用として

ひつまぶしに使われたと言われています。

ウナギ屋にとってひつまぶしは提供しやすい料理なのです。

  

地焼きしたウナギは表面がカリッと香ばしく焼きあがるので

細かく刻むことができます。

東京方面のウナギは蒸す調理法なので

細かく刻むことができません。

細かく刻むと形が崩れやすいのです。

   

ひつまぶしはあつた蓬莱軒さんの登録商標ですが

おそらく発祥は「錦三丁目にある、いば昇」さんだと僕は思っています。

いば昇さんのひつまぶしはお茶漬け用の「煎茶」がついてきます。

これは、僕はあまりおいしいとは思いません。

正直にいうと、最後のお茶漬けは「だし」のほうがおいしいです。

あつた蓬莱軒さんはお茶漬け用の「だし」がつきます。

ほとんどのお店が「だし」ですね。

だしとウナギのたれの味がよく合うのです。

いば昇さんの提供する「煎茶」だとウナギの味と煎茶はあまり合わないので味がバラバラに感じます。

お客様の要望でお茶漬けにしたいという要望があって

お茶を提供した。

そうして生まれたひつまぶし。

ひつまぶしの元祖であるからこそ、お茶漬け用は「だし」ではなく

「煎茶」なのだと思います。

  

いば昇さんは栄にあるので出前も多いお店です。

正直、出前だと器が割れやすいのです。

ウナギ丼も単価が高いので

その提供する器も高価です。

出前をすると割れてしまうことも多いです。

なので「木製のおひつ」を使用するひつまぶしは

器が割れるということがないので

「ウナギ屋にとってありがたい料理」であります。

木製のおひつだと割れることがありません。

    

お茶漬け用に使われる「だし」には愛知県の名物である「白醤油」が使われています。

「たまりじょうゆは大豆で作ります」

「白醤油は麦で作ります」

白醤油はたまりと違いサッパリとしたお味です。

ウナギの濃い、濃厚なたまりの味を

サッパリとした白醤油で味付けられた、だしの味で食事の締めとして

おいしく食べ終わることができます。

    

たまりじょうゆも白醤油も愛知県の特産品。

  

愛知県ではウナギの養殖も盛んです。

三河一色で育てられたウナギ。

   

ウナギを有効に活用する

名古屋人の合理精神

  

ひつまぶしには名古屋らしい要素、愛知県らしい要素が

いっぱいつまった料理であると思います。

  

愛知県の食文化がいっぱいつまったひつまぶし。

    

これが断トツにひつまぶしが名古屋名物だといえる理由です。

   

コメント

  1. 仁村由紀夫 より:

    八丁味噌は岡崎の名物です。「八丁」もカクキューという味噌蔵のある辺の地名の通称みたいです。昔、行ったことがありますが、雰囲気があっていいところです。

    • yukihiko5401 より:

      そうなんですね。コメントありがとうございます!今気づきました。僕も一度行ってみますね~