アルバイトに助けられる。適性が見つかった高校生の話。

僕は20年ほど飲食店で働いてきました。

600人ほどのアルバイトと一緒に働いてきたのですが

印象に残っている高校生の男の子がいます。

マクドナルドの高松サティというお店で働いていたとき採用した

定時制に通う男の子でした。

 

四人兄弟の長男で

まじめなんですが

とても仕事を覚えるのに時間がかかるそんな子でした。

ハンバーガーを作るのにも

ポテトを入れるのも

僕は2年ほど一緒に働いていたのですが

最後まで普通のレベルでした。

   

普通に働くことにかんしては能力を発揮することはありませんでした。

    

ただ僕は彼にとても助けられたのです。

   

僕が彼を採用したのですが

面接をしたときに思ったのは

まじめだけど仕事を覚えるのは時間がかかりそう。

   

けど採用したのは

平日の午前中働くことができるということでした。

   

毎週、月曜日・水曜日・金曜日の午前中に

食材や資材の納品があったのです。

   

そのお店の厨房スペースが小さく

冷凍庫・冷蔵庫が大きなものが厨房に置くことができず

店舗から100メートルほど離れたところに倉庫を借りて

そこに大きな冷凍庫・冷蔵庫をかり、食材を保管し

紙コップなどの資材もたくさん保管していました。

     

月水金の資材の納品のほかに、

平日は2日に1回、土日はいつも倉庫から食材を搬入しなければなりませんでした。

    

多いときは大きな台車に載せても3往復はしなければなりません。

   

この倉庫からお店へ資材を搬入する仕事

月、水、金の資材を倉庫に運ぶ仕事が抜群に早かったのです。

   

平日は夕方までは、パートの主婦が多く

男が足りません。

チカラ作業のできる男の定時制の高校生は貴重な戦力です。

当初からまずその目的で採用したので

主婦の人から仕事を覚えるのが遅い。と言われても

資材を運ぶ仕事は全部、彼にやってもらう予定なんだというと

主婦の人は自分がやりたくないので、その仕事のきつさと大変さを知っているので誰も文句は言わなくなりました。

   

店舗の冷蔵庫・冷凍庫・紙コップなのどの品目の在庫をチェックして

倉庫から店舗まで運ぶ。

この仕事を彼は地道に続けました。

「この仕事は大変な仕事だ」

「みんなが助かる仕事だ」

「仕事が早くなってきた」

と言いながら、仕事を教えていくと

彼は在庫の把握ができるようになり

搬入の作業スピードが誰よりも早くなり

とても助かりました。

    

まじめでコツコツ頑張るタイプでしたので

みんなが嫌がるこの搬入の仕事を

これは僕の仕事だ!と進んでやってくれました。

    

彼は荷物を運ぶ。

この仕事が大好きだったのです。

    

人には適性がある。

ということに彼を通じて僕も学びました。

この搬入の仕事に彼はドハマりしていました。

    

主婦の人からもチカラ仕事も進んでやってくれましたし

感謝されていました。

高校1年生のころは遅刻することもあり、僕も注意しなければならない時もありましたが

搬入の仕事が上達していく中で、仕事に自信を持ち、周りから感謝されることで

仕事が喜びになり、遅刻することはなくなりました。

    

ほめられるとすごくうれしそうに笑った顔が印象的な男の子で

お父さんがお店に一度来てくれて

マクドナルドで仕事をしはじめて、とてもよく笑うようになり

自信を持てるようになったとお礼を言われました。

    

仕事を通じて、このように成長していく姿をみることがこの仕事をしている一番の喜びでした。

彼は今、高松で物流倉庫の会社で働いています。

ぴったりの仕事がみつかってよかったです。

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