KO負けしたもの同士で救急車で運ばれた話。

大学三年生の時

大学のボクシングのリーグ戦で試合に出た。

相手は強かったので

まず負けるだろうと僕もみんなも思っていた。

でもその日僕はすごい調子が良かった。

なんかとても体調がよかった、

僕の前に四回生の先輩が試合に出た。

リーク戦なので7人制。

4人勝ったほうが勝つのだ。

僕は6人目。

その先輩もすごく調子がよさそうで

相手はハードパンチャーで強いのに

果敢に打って出ていた。

でも一発いいのをもらって

先輩は崩れ落ち

KO負けしてしまった。

ああ残念~

僕の番が来た。

相手は強い。

僕は張り切っていた。

はじめいい感じでボディが相手にあたって攻めた。

どんどんボディをうって攻めた。

ああーなんか調子いいなあ~と思っていたら

一発いいのをもらった。

けっこうな衝撃だった。

いかん。いかん。と思っていたら

ガンガン打たれて

最後にまともにパンチをもらってKOされてしまった。

そして気を失ってしまった。

目覚めたのは試合が終わってしばらくしてから

リングの近くにタオルをひいて

その上に寝かされていた。

KO負けした選手は

病院に運ばれて検査を受ける。

僕の前に出てKO負けした先輩と

僕は担架に乗せられて救急車で病院まで運ばれた

二人とも明らかにダメージのある負け方だったので

救急車でそろって運ばれた。

その先輩は担架に寝転がり、目を腕でふせながら

「宮﨑!俺たちってヘボいなあ~」

   

「そうですね~ヘボいですね~」

     

この救急車の中の先輩とのやりとりがすごく記憶に残っている。

でも一人でKO負けしてたらけっこう落ち込むのだけど、

二人してKO負けしたので

この言葉を聞いて

妙な連帯感があり、少し救われた気がしました。

大学時代のせつない思い出です。

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