お酒造りの責任者。杜氏(とうじ)のお話。いろんな経験がお酒造りに活きてくる。

2022年9月5日(月)7時~
第458回朝活ネットワーク名古屋 を開催しました。

【テーマ】杜氏の仕事とは!?日本酒は冬しか造らない。
~杜氏って夏の間なにやってるの~
【進行役】木村 伸一さん

本日は名古屋市北区にある
金虎酒造で杜氏をされている木村さんにお話しいただきました。

杜氏(とうじ)とは
蔵元とは日本酒の製造元。
杜氏は日本酒の製造責任者にあたります。
生産現場の最高責任者です。


特に杜氏になるのに資格はいらないが
酒造技能士という国家資格は存在します。

最近では
蔵元が杜氏をする
蔵元杜氏も増えてきています。

かつて杜氏は
日本酒を作る「冬」の間の
農家の「出稼ぎの仕事」でした。

ただ時代が変わり
「出稼ぎ」自体がほぼ存在しなくなり
蔵元は
社員として杜氏を雇用することが主流になりました。

木村さんが酒造りを教わったときは
年の離れたおじいさんに近い年代の方々から教わったそうです。

新潟から出稼ぎに来ている方々だったので
方言が激しく、何を言っているのか?
よくわからない。

教え方もぶっきらぼうで
怒ったような感じで仕事中は話してきます。

仕事以外のときはそうでもないけど
仕事となると姿勢が変わり、厳しい。

そのときはわからなかったけれど
これには理由がありました。

日本酒造りは一瞬でも手を抜いてしまうと
お酒がダメになることがある。
だから
「自分の担当する工程でミスをしたくない。
きっちりと己の仕事をやりたい!」という
職人的なこだわりが背景にあるのだと
木村さんは後に気づいたそうです。

お酒造りの仕事を教えられながら
続けていると
次第に
日本酒造りの奥深さや面白さの気づいてからは
はじめはキツイなあ~
しんどいなあ~
という後ろ向きな気持ちもあったのですが
一生懸命、仕事をする、前向きな姿勢に木村さんも変化していきました。
そうすると周りの人たちの態度も変わり
仕事を教えてくれるようになります。

仕事を教えてほしいと思ったら
まず自分が本気になり
一生懸命に仕事をすることはやはり大切です。


お酒は微生物が造ります。
酵母菌(こうぼきん)
麹菌(こうじきん)
です。

お酒造りは温度管理が命です。
そして麹菌をお酒に入れるタイミングがとても重要です。
その際、温度を確認するとき、指を入れるといいます。
もちろん温度計でも測るのですが、
指を直接お酒の中に入れて
指で感じて体験でも温度を測ります。

若いころ木村さんはこの指で温度を確認する意味が
よくわかりませんでした。

忙しいときでも
温度確認の為に、手を洗い、指で温度を測らなければならない。

あるとき温度計で測ると適温だったので
麹菌を入れようとしました。
でもいつもと同じように温度計だけでなく
指で温度を確認してみると熱いと感じた。

指で温度を確かめることが習慣となっていたのです。

なので麹菌を入れるのをやめました。
温度確認は必ず、「指」でも行う。

その意味がよくわかったそうです。

温度計も故障することがある。

故障することは本当にたまにしかないけど
温度計だけで確認していたら
麹菌を入れるタイミングを誤り
それが致命的なミスとなり
お酒がダメになってしまう。

その時に初めて
木村さんは「指」でも温度を確認するようにと
厳しく指導されてきた意味がわかりました。

もともと出稼ぎの仕事であった
杜氏の仕事は冬だけです。

でも現代の杜氏は
蔵元が社員として雇っているので
酒造りのシーズンでない
「夏」には本来、やるべき仕事がありません。

なので
酒造りをする場所
「蔵」のメンテナンスをします。

DIY 道具の補修
左官 土壁の修理
ペンキ塗り さび落とし
コンクリート 床の補修
鉄工 道具の補修
水の配管

酒蔵には癖がある
ここにおいておけば、乾きやすいところとか
暖かい場所とか、その癖を理解して
癖を活かして、酒造りができる。

これを職人にすべてやってもらうと
キレイには補修して仕上げてくれるが
酒蔵の癖を活かした補修ができない。

癖を理解している
杜氏である自分が補修するからこそ
癖を活かした補修ができる。

杜氏の仕事は
孤独であるとかつて教えられた。

やってみると
やはり孤独。

問題に気づいても相談できる人は周りにいない。

その問題を理解してくれる人もいない。

ただ酒造りが忙しくない季節に
お酒造りをしている人以外の人と話すことでも学びになる。

お酒販売のイベントで役者の方と知り合い
話してみると
お互いやっている仕事は異なるけれど
役者の仕事も
お酒造りに通ずるところがある。

仕事は違えど、仕事に共通することがあり
それは学びとなる。

一つの仕事を極めるということは
いろんな仕事に応用できるヒントがあるということにも気づきました。

木村さん。
私たちが全く知らない杜氏の世界。
お酒造りのお話をありがとうございます。

とても学びになり
私の仕事にも生かせそうなヒントがたくさんありました。

良い習慣を身につけること。
大切ですね。

9月19日(月祝)12時~18時
金虎酒造株式会社(名古屋市北区山田三丁目11-16)
で秋の酒蔵開放「虎変披露祭」開催されます。

入場料:1000円(ドリンクチケット2枚付)

ぜひ興味のある方はご参加ください。

http://www.kintora.jp/news/9_32.html

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