妖怪には怪しさがあり、 魅力がある。 妖怪の背景には「人の営み」がある。

2024年9月16日(月祝)7時~
第557回朝活ネットワーク名古屋を開催しました。
【テーマ】地域資源としての妖怪~妖怪から紐解く愛知の魅力~
【進行役】島田尚幸Naoyuki Shimada

妖怪文化研究家・あいち妖怪保存会共同代表で
妖怪講座、怪異・妖怪をテーマにしたまち歩きを年間40回ほど実施するなど、怪異・妖怪をキーワードに、地域文化や文芸を知る・学ぶ・楽しむための活動をしている島田さんにお話していただきました。

幼少の頃、
父親の実家があった福井。
実家のある集落では、まだ土葬の習慣がありました。
島田さんにとって、寺社仏閣、そしてお墓は
遊び場でした。

そのころ
テレビで再放送がされていたゲゲゲの鬼太郎と
福井の「遊び場」の雰囲気との親和性から
妖怪にドはまりします。


2010年はお化け界隈の方々にとって
メモリアルイヤーでした。
1910年に「遠野物語」が出版されて100周年。
柳田國男が、遠野出身で小説家志望の青年、佐々木喜善から聞いた
遠野に伝わる話をまとめた本です。

この年、「みちのく怪談」プロジェクトという、東北地方に伝わり、
語られるあやしい話、不思議な話に焦点を当てた文芸運動が始まりました。
この試みは成功し、また翌年も、と準備していたところで東日本大震災が発生しました。

そこで、このプロジェクトの中心メンバーであった、アンソロジストの東雅夫さんが旗振り役となり、「ふるさと怪談」プロジェクトというチャリティイベントが始まりました。
島田さんは、この時に、東海圏での開催を企画、運営を行いました。

災害は、人命や建物などが失われるだけでなく、「文化」にも大きな爪痕を残します。
そうしたイベントに携わるなかで、地元に伝わる「あやしい」話を中心に、
多くの人の記憶や記録に残すべく始めたのが「あいち妖怪保存会」でした。



参加者の皆さんに
思いついた妖怪の名前を挙げていただきました。

ぬりかべ
めだまおやじ
口裂け女
ろくろ首

様々な妖怪が
参加者の方々から名前が出ていました。
しかし、そもそも個々人によって
「何を妖怪とするか」の定義は曖昧です。
島田さんは、その曖昧さこそが、探究する上での難しさであると同時に、最大の魅力であると考えています。


名古屋市に伝わる妖怪として、
現在の椿神明社の近くに住んでいたとされる
河童の話があります。

椿神明社は名古屋駅の西口にほど近く、
かつては傍に川が流れ、緑も今よりもずっと豊富にありました。
そんな場所にゆかりある河童の物語。
その背景には土地が持つ歴史や自然があります。


妖怪には
怪しさがある。
不明なところやオドロオドロしいところ、
そこに余白があり、魅力がある。
妖怪の背景には「人の営み」がある。


滋賀県の三井寺や
比叡山・延暦寺でも妖怪のイベントが
昨今、行われています。

これも妖怪のもつ魅力から生み出されている。

新型コロナウイルスが猛威を振るうなかで、
「アマビエ」という妖怪が話題となった。
しかし、「アマビエ」は
「(疫病が流行を予言し、その上で)私の姿を描き写した絵を人々に見せよ。」
としか述べていない。
決して、「治る」とも「流行が収束する」とも述べていないのだ。

しかし、2020年の「アマビエ」は、
家にいることを余儀なくされた期間中でさえも、絵を描いたり、
造形したりしあうことで、互いにつながり合う、
「アイコン」としての機能を果たすに至った。

妖怪には物語があり、地域の魅力を引き出す可能性がある。

島田さんのお話は非常に立体的で
なぜ妖怪が生まれたのか?
そこには歴史や人の営みがからんでいること
その魅力をわかりやすく知ることができました。

私もなぜ妖怪がこんなにも人気があるのか?が
なんとなく理解できました。


また、地域の歴史を紐解けば
そこには防災の観点からも見えてくるものもある。

防災士でもある島田さんは、地域の自然と文化とまちづくりを絡めた以下のプログラムを計画しています。

11月2日(土)
10時から
「防災で読み解くなごやのデザイン」
(西生涯学習センター 視聴覚室)

14時から
「防災で読み解く、なごやデザインまち歩き」
(庄内緑地公園駅 改札口前集合)

この地の歴史、物語を防災の観点から
知ることのできる貴重な機会ですので
ぜひ興味のある方は下記より申し込み、ご参加ください。

やっとかめ文化祭 DOORS
やっとかめ文化祭から、「やっとかめ文化祭DOORS」へ。なごや文化の入り口となる、いろいろな扉を用意して、これまで以上に広く、深く、このまちを案内します。



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