僕は飲食店でずっとアルバイトを採用したり、教育したりする仕事をしてきました。
20年このような仕事をしてきたので
600人くらいのアルバイトと一緒に働いてきました。
その中でとても印象に残っているアルバイトは
僕がマクドナルドの高松サティというお店で働いているとき
とても忙しくて
とてもアルバイトが足らなかったお店の子です。
そのお店には僕が赴任したときは
マクドナルドに一番多い女子高生が一人しかいませんでした。
その唯一の女子高生だった子です。
忙しくて大変だった一日。
カウンターを受ける仕事ができるのが僕とその子しかいなくて
ずっと忙しかった平日の夜。
閉店間際にお客様から電話がかかってきました。
注文していたハンバーガーが入っていなかったという電話。
入れ忘れです。
お届けにあがりましょうか?
とお伝えしたら
お客様は「もういいわよ」
とっても忙しそうで大変そうだったし、
接客してくれた女の子は感じが良かったし
責めないであげてと言われました。
結局、次回ご来店時にそのお客様には入っていなかった商品をお渡しするということになりました。
その子はとても一生懸命で感じの良い子だったのです。
閉店して、片付けが終わった時、
彼女にお客様からの電話の内容を伝えました。
そうしたら、彼女は目を見開いた後
泣き出しました。
彼女は言いました。
「くやしい。」と
入れ忘れた自分に対して「くやしい。」と言っていました。
まだアルバイトを始めて彼女は3ヶ月でした。
その後、高校を卒業するまで2年間。
アルバイトを続けてくれたのですが
それから辞めるまで一度も入れ忘れをすることはありませんでした。
二度と同じ失敗はしなかったのです。
そのあとこのお店は女子高生のアルバイトが最終的には15名くらいになったのですが
良いお手本として、笑顔で感じよく、働いてくれました。
失敗してもそれに負けずに仕事を続けることは美しい。と彼女を見て思いました。
彼女が通っている高校はとても偏差値の低い高校だったけれど、
仕事ぶりは最高でした。
アルバイトをしている間に3回、一緒に働いているアルバイトから告白されていました。
それも頷ける素敵さでした。
最後辞めるときに「あの泣いてた時のこと覚えてる?」と聞くと
「忘れるわけないじゃないですか。」
「私はあれからお客様の注文を聴いているときはすべての邪念を捨てて、
目の前のお客様に無心で集中することにしてるんです」
そうか。
やはり失敗から学んでいたんだ。
「目の前のお客様に無心で集中する」
とても素敵な言葉だと思いました。
仕事を通じてアルバイトが成長していく姿を見られるのは
このような仕事をしている一番の喜びでした。
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